ランソプラゾール(英: lansoprazole)は、胃からの酸の産生を抑制するプロトンポンプ阻害薬の一つ。世界中の多くの企業で生産されており、種々の商品名がある(Prevacid、Helicid、Zoton、Inhibitol、など)。アメリカ食品医薬品局は、1995年にランソプラゾールを最初に認可した。
日本で初めて上市された商品名はタケプロン(武田薬品工業)。後に後発品も多数販売されている。
ヘリコバクター・ピロリ除菌にも有用で、日本では一次除菌・二次除菌に認可されている。胃潰瘍・十二指腸潰瘍のほか、逆流性食道炎にも日本では認可されている。上部消化管出血には注射剤も上市されている。
薬効分類
プロトンポンプ阻害薬(PPI)
胃内において胃酸分泌を抑え、胃潰瘍などを治療し逆流性食道炎に伴う痛みや胸やけなどを和らげる薬
効能・効果
Zollinger-Ellison症候群
胃潰瘍
胃潰瘍のヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
逆流性食道炎
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍のヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
特発性血小板減少性紫斑病のヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
吻合部潰瘍
非糜爛性胃食道逆流症
胃MALTリンパ腫のヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃のヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
低用量アスピリン投与時における胃潰瘍の再発抑制
低用量アスピリン投与時における十二指腸潰瘍の再発抑制
非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍の再発抑制
非ステロイド性抗炎症薬投与時における十二指腸潰瘍の再発抑制
ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎のヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
用法・用量(主なもの)
1.胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群の場合:ランソプラゾールとして1回30mgを1日1回経口投与する
なお、胃潰瘍、吻合部潰瘍では8週間までの投与、十二指腸潰瘍では6週間までの投与とする
2.逆流性食道炎の場合:ランソプラゾールとして1回30mgを1日1回経口投与し、なお、8週間までの投与とする
更に、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、1回15mgを1日1回経口投与するが、効果不十分の場合は、1日1回30mgを経口投与することができる
3.非糜爛性胃食道逆流症の場合:ランソプラゾールとして1回15mgを1日1回経口投与し、なお、4週間までの投与とする
4.低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の場合:ランソプラゾールとして1回15mgを1日1回経口投与する
5.非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の場合:ランソプラゾールとして1回15mgを1日1回経口投与する
6.ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助の場合:ランソプラゾールとして1回30mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する
なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる
但し、1回400mg(力価)1日2回を上限とする
プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合は、これに代わる治療として、ランソプラゾールとして1回30mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びメトロニダゾールとして1回250mgの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する
副作用
主な副作用
発疹、浮腫、大腸炎、血便、腹痛、下痢、胃食道逆流、過敏症、そう痒、多形紅斑、亜急性皮膚エリテマトーデス
重大な副作用
アナフィラキシー、全身発疹、顔面浮腫、呼吸困難、ショック、汎血球減少、無顆粒球症、溶血性貧血、貧血、顆粒球減少、血小板減少、黄疸、AST上昇、ALT上昇、重篤な肝機能障害、中毒性表皮壊死融解症、Toxic Epidermal Necrolysis、TEN、皮膚粘膜眼症候群、Stevens-Johnson症候群、間質性肺炎、発熱、咳嗽、肺音異常、捻髪音、間質性腎炎、急性腎不全、視力障害
上記以外の副作用
Al-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、好酸球増多、便秘、口渇、腹部膨満感、collagenous colitis、下痢が継続、腸管粘膜縦走潰瘍、腸管粘膜糜爛、腸管粘膜易出血、下血、悪心、嘔吐、食欲不振、カンジダ症、味覚異常、口内炎、舌炎、頭痛、眠気、うつ状態、不眠、眩暈、振戦、総コレステロール上昇、尿酸上昇、女性化乳房、倦怠感、舌のしびれ感、しびれ感、口唇のしびれ感、四肢のしびれ感、筋肉痛、脱毛、かすみ目、脱力感、関節痛、低ナトリウム血症、低マグネシウム血症、軟便、胸やけ、ビリルビン上昇、好中球減少、白血球増多、トリグリセリド上昇、総コレステロール低下、尿蛋白陽性、尿糖陽性、排便回数増加
注意事項
病気や症状に応じた注意事項
- 禁止
- 過敏症
- アタザナビル硫酸塩投与中
- リルピビリン塩酸塩投与中
- 慎重投与
- 肝障害
- 薬物過敏症
- 注意
- 進行期胃MALTリンパ腫
- 早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃以外
患者の属性に応じた注意事項
- 相対禁止
- 妊婦・産婦
- 希望禁止
- 授乳婦
- 慎重投与
- 高齢者
- 投与に際する指示
- 高齢者
年齢や性別に応じた注意事項
- 慎重投与
- 高齢者(65歳~)
- 投与に際する指示
- 高齢者(65歳~)
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